田島正理氏の独自手法・非公式バックスキン復活術

 

今回は画像をふんだんに使い解説していきたいと思う。まずは、未処理のオリジナルのホルスター裏蓋の画像だ。

バックスキンの起毛が全て倒れて艶と油汚れで皮革の状態としては最悪。元の本当の色が何色なのかさえ解らない。あくまでも私の推測だが特に塗料を使って塗装等の処理はされていなく、皮革素材そのものの色だったのでは無いか・・・と、判断。もしもこの推測が間違いだったとしたらオリジナルのバックスキン部分の色を取り戻す事は不可能だろう。

有る意味、賭けだ。しかし、結果を先に言ってしまうと、バックスキンの色のコントロールは手順さえ間違えなければ、理論的には不可能では無いと言うことである。つまりこの理論を逆手に取ればスエードやヌバック製のあなたの靴も塗料は一切使わずに、好みの色に変化させることが出来るということなのだ。

今こうして過去のホルスターのバックスキン部分を見てみるとアンティークという意味では味があったように思う。そこでその味をどこまで取り戻せるかが、今回のチャレンジ。


さて、前回バックスキンの油汚れを取ることは靴業界でもハードルが高いとの情報により、無性にやる気を出して作業した手順は次の通り。

 

Dannerブラシで丁寧に隅々までバックスキンをブラッシング。ライカ180mlスエードクリーナーの缶を良く振りスプレーする。ムースタイプのスプレーだ。その後「ASK スーパースエードブ ラシ」のゴムブラシの部分を使って、徹底的に擦る。次は濡れた雑巾で余った薬剤を綺麗に取り去り、スェード用スプラッシュブラシでバックスキンの毛並みを確認しながらポリッシュ。そしてPERFECTER ワイヤーブラシで毛足をおこして陰干しする。完全に乾いたらDannerブラシで毛並みを整え、さらに、PERFECTER ワイヤーブラシで起毛させ、ALDENホースヘアーブラシ白毛でブラッシングさせて完成されたのが下記画像。

汚れもなく、バックスキンとしてはナチュラルな味のある色になったが、オリジナルのホルスター裏蓋とは雰囲気が余りにも相違したものになってしまった。これを、すこしでもオリジナルに近づけるべき驚きの手段。


※さてここからが本題「バックスキンの色のコントロールの奥義」の手順。

 バックスキンの色のコントロールの奥義必需品

 1. スエード用Dannerクリーニングフォーム(洗浄剤) 1,000円 U.S.A
 2. M.MOWBRAY ステインリムーバー 630円 ITALY
 3. ASK スーパースエードブラシ        500円 GERMANY
 4. Danner ブラシ               200円 U.S.A
 5. Danner 仕上げクロス          525円 U.S.A
 6. OLIKIN スプラッシュ・ブラシ(スエード専用)     840円 ENGLAND
 7. サンドペーパー600番・240番       各 200円位 JAPAN
 8. Collonil DIAMANT(無色)           2,625円 GERMANY
 9. Collonil PREMIUM PROTECT(高級防水スプレー)   1,890円 GERMANY
10. M.MOWBRAY アニリンカーフ・クリーム 840円 ITALY
11. PERFECTER ワイヤーブラシ 1,575円 FRANCE
12. 馬毛ハンドルブラシ             400円 NO BRAND

 

 相変わらず奥義に必要な道具は数が多いのが難点。少しでもコストダウンしたいのだが、これでも使う道具は最小限。精一杯で、極力無駄を省いている筈なのだが・・・。

前回のホルスター磨きでは、その性能が余りにも悪く(Dannerさんゴメン)汚れを拡張するだけで、クリーニング効果が全く無くお蔵入りしたスエード用Dannerクリーニングフォーム(洗浄剤) 1,000円 U.S.A。http://www.rakuten.co.jp/danner/456567/457443/

 その性能の悪さを逆手に取り、綺麗になったフラップ裏側のバックスキンにスプレーする。画像のように予想通り見事にこげ茶に変色。起毛も無くなる。画像でお気づきになられる方もいらっしゃると思うがバックスキンの丁度下半分の色が違う。これはこれから活躍するM.MOWBRAY ステインリムーバーを塗布してあるので色が違うのだ。

 

 

 

 


ステインリムーバー取扱説明書無視。

取説のご指摘の通り色落ちもしましたバッチリ予定通り。(笑)バックスキンに対してステインリムーバーを5回塗布、1回ごとに約1時間の乾燥時間をあける。5回目の使用にも関わらず画像にあるコンットンをご覧の通りまだ汚れなのか塗料なのか解らないが(おそらく汚れ)が付着してくる。

完全に下地が露出したようだ。これ以上のリムーバーの使用は無意味と判断。次の作業へ・・・。注)ステインリムーバー塗布時には方向を決め、平行に使用する。当然の事ながら乳白色のステッチも茶色に変色してくるのでASK スーパースエードブラシでクリーニング。http://www.rakuten.co.jp/actika/408318/502116/450389/

 

この後Dannerブラシ(やや堅めのブラシであればDannerにこだわる必要は無し)http://www.rakuten.co.jp/danner/456567/457450/

Dannerは仕上げ用クロスは別格の素晴らしい逸品であるが・・・http://www.rakuten.co.jp/danner/456567/457449/

 それ以外はクリーナーは性能が悪いし、防水スプレーはとても臭い。おまけにスウェ−ド用スポンジなんて皿洗いのスポンジじゃないの?というダメダメブランド(Dannerさんほんとにゴメンなさい。事実なので仕方がありません。)で特に念入りにブラッシングし、OLIKIN スプラッシュ・ブラシ (スエード専用)http://tinyurl.com/9yz4zにて磨きの方向性を決め、丹念に汚れ取り。ステインリムーバーの使用で汚れの取れ方は最小限だが、意味がないと思わずに磨く。(目に見えない皮革の凸凹の汚れをとるつもりで・・・。)これでバックスキンは完全にクリーンな状態になったはず。


はい。ここからは皮革関係の人には意外な行動です。サンドペーパー(紙ヤスリ)を使います。GUN関係の人ならわかると思うが、金属加工で使われる、いわゆるヘアライン仕上げを皮革に使ってしまおうというアイデア。サンドペーパーはホームセンター等で入手できる物でOK。特殊な道具でない。

 

さて、まずは600番という粗目のペーパーを使う。円を描くように皮革に触れるか触れないかの状態で完全に力を抜いてあくまでもソフトに、かつデリケートに処理。気をつける点としてバックスキンに磨きムラが出来ないようにすることだ。

※左下に、使用したペーパーを置いてありますがペーパーは殆ど未使用の状態。それくらいソフトタッチで作業する。

 

次もペーパーだ。こんどは240番を使う。先程使用した600番の傷を消す感覚で円を描くようにペーパーがけ。表皮の色目が微妙に変わってくるのがお分かりになると思う。でも「バックスキン。オリジナルの色を取り戻せ!」には、もう少し我慢が必要。

 

※左下の使用済みのペーパーは少し皮の削りカスの付着がみられる。

 やはり皮革製品にはサンドペーパーでは苦手な事もあり、実験的に更に細かいペーパーを使用してみたがどうも上手く仕上がらない。そこで、OLIKIN スプラッシュ・ワイヤーブラシ(スエード専用)の登場だ。

 

ワイヤーブラシもマニュアル通りの使い方をしない。(ゴメンナサイ)ホルスターのバックスキン部分を平坦な台(机)に置いて自己の持てる渾身の力で四方八方に無茶苦茶に擦りまくる。(注)とても疲れます。その結果が下記の画像です。

またしても皮革関係の人には意外な行動。再度600番のペーパーに戻って、こんどは磨く向きに方向性をもたせてヘアライン(髪の毛のような模様の意味)を入れる。

600番のヘアライン仕上げも充分なのだが…ペーパーがけの最後はDannerブラシで表皮を整える。お疲れ様です。ここでこの文章の冒頭の未処理のホルスターの裏蓋の画像をチェックしてみて欲しい。

どうだろう?「何かは」足りないが色の質は似てきたと思われないか?似てきたと思わない人はその「何か」とは???次の行程をお楽しみに・・・。

 

※この一連のペーパーがけの作業で狙っている色目というか元の素材の色を回復させるためにスエード用DannerクリーニングフォームやM.MOWBRAY ステインリムーバーを使って油や汚れを完全無欠 に取り去る必要性があったのだ。(たねあかし)

お楽しみの何か足りないの「何か」とはズバリ「艶と使い込みの風合い」である。長年(60年程)の間におそらく、表皮は変質・変色を繰り返し、起毛も無くなり革製品としては無惨な状態にあったのだと思いを巡らせる。それを60年後の現代に再現しようという大胆な計画が、この「バックスキン。オリジナルの色を取り戻せ!の巻」の根本なのであるが、この高きハードルをクリアして、このホルスターを後生に引き継がせたいという崇高な(笑)考えもあったりする。

説明はさておき次は、新しく使用する商品だ。その名はCollonil DIAMANT(無色)である。前回バックスキン部分の防水剤として使用したPREMIUM PROTECTと同じドイツのメーカーの品で、とてもクオリティーの高いデリケートクリームで、有機溶剤を使用せず、極めて優れた保革作用と防水効果を発揮。高品質オイルが、天然タンニン鞣革の風合、しなやかさと光沢を高次元で保つ逸品。仕上げに使う防水剤PREMIUM PROTECTとの相性も期待できる。しかし普通のデリケートクリーム同様、この商品も「スムースレザー専用」なのでバックスキンへの使用は禁断の領域。しかしそんな既存概念は無視。

さて、デリケートクリームとしては効果抜群のこのクリームなのだが、若干臭いがある。嗅覚が敏感な人は気になるかも知れない。(要注意)

 

・・・・中巻へ続く。

※転載無料許可


ナトリヤ